category未分類

「王様の耳はロバの耳」の典拠はイソップではありません。

trackback0  comment1
以前、ミダス王の伝説として「王様の耳は驢馬の耳」に触れました:
http://buoneverita.blog89.fc2.com/blog-entry-91.html

驚いたことに、ネットでこれを検索してみると、日本語のサイトでは
『イソップ寓話集』由来と信じている方が多いようです。

しかしイソップにはこの話はありません。強いて挙げれば、
角をほしがったために耳まで取られてしまったラクダの話
(「117 角を欲しがる駱駝」、中務哲郎訳『イソップ寓話集』岩波文庫、1999年、105頁)
がやや近い要素を持っていると言えるかもしれませんが。

「王様の耳はロバの耳」の典拠は、正しくはオウィディウス『変身物語』巻11です。
(中村善也訳『オウィディウス 変身物語』下、岩波文庫、1984年、119-120頁)

この話は国際的にはATU782という話型として知られ、
朝鮮半島から中央アジアを経てアフリカ、西欧に及ぶ広い範囲に分布しています。

最もまとまった研究は、クロアチアの著名な民俗学者
マヤ・ボシュコヴィツ=ストゥッリ(1922年生れ)の博士論文で、
Maja Bošković-Stulli,
Narodna predaja o vladarevoj tajni,
Zagreb: Institut za Narodnu Umjetnost, 1967
として公刊されています。

残念ながら本書はクロアチア語で書かれていますが、
ありがたいことに41頁におよぶ詳細な独文要約が付されており、
内容を知ることができます。

神聖王の存在が背景にあるという、フレイザー流の解釈は
やや疑問ですが、291の類話を集め(そのうち、彼女自身フィールド調査
も行なったクロアチアの伝承が144話)、分布と類型を明らかにした功績は不朽のものです。

この伝説については色々調べるうちに分かってきたこともあり、
いずれまとめてみたいと思っています。

ネットの普及により誤解もあっという間に広がるということでしょうか。
ちょっと困りものですね。
スポンサーサイト
category刊行・講演・出演

狗肉の食とそのタブー(中)犬食い(キュノファゴイ)略史

trackback0  comment0
2012年2月1日付発行の『食文化誌 ヴェスタ』85号(2012冬号)を拝受。
(財)味の素 食の文化センターの編集・発行になる雑誌です。
http://www.syokubunka.or.jp/vesta/

46~49頁に、3回連載中のエッセイ「狗肉(くにく)の食とそのタブー」の
(中)として、「犬食い(キュノファゴイ)略史」と題する拙文を
掲載していただきました。

中国、ヨーロッパ、日本の犬食い史をざっと概観したものです。

(上)については以前に書きました↓
http://buoneverita.blog89.fc2.com/blog-entry-101.html

最終回となる(下)は春号に掲載予定です。
New «‡Top‡» Old