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言語と先史 雑感

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つい最近、

崎山理 2012「日本語の混合的特徴:
オーストロネシア祖語から古代日本語へ音法則と意味変化」
『国立民族学博物館研究報告』36(3): 353-393

が発表され、素人ながら面白く拝読しました。

日本語は、北方ツングース諸語および南方オーストロネシア語族の
両文法要素を継承する混合言語である、という立場から、
オーストロネシア系と見られる多くの語彙が詳しく検討されています。

専門家の間ではどう評価されているのか分かりませんが、

Benedict, Paul K. 1990.
Japanese / Austro-Tai. (Linguistica Extranea, Studia 20).
Ann Arbor: Karoma Publishers

に接した時の興奮を思い出しました。少し比べてみますと、
崎山先生の挙げた事例と解釈には、ベネディクトと共通するものも
ありますが、違っているものも多いようです。

ツングース(アルタイ)側と日本語の語彙比較が今どのような段階なのか
よく知りませんが(私が面白いと思ったものに、

Miller, Roy Andrew & Nelly Naumann. 1994.
Altaische schamanistische Termini im Japanischen.
Hamburg: Gesellschaft für Natur- und Völkerkunde Ostasiens

があります)、南北双方から日本語の語源研究が進められ、
いずれ本格的な語源辞典が現れることを、一門外漢として望んでいます。

ついでながら、

Kumar, Ann. 2009.
Globalizing the Prehistory of Japan: Language, Genes and Civilization.
London: Routledge

が出て学際的に日本の先史ことに縄文・弥生のトランジションを再考していたり、
民族学者・岡正雄の古典的な(幻の)学位論文がついに出版されたりと、

Oka, Masao. 2012.
Kulturschichten in Alt-Japan, 2 Bde.
Herausgegeben und mit einer Einleitung versehen von Josef Kreiner.
(JapanArchiv. Schriftenreihe der Forschungsstelle Modernes Japan; Bd. 10).
Bonn: Bier'sche Verlagsanstalt.

日本と周辺地域における学際的先史・比較研究の機は熟しつつあるのかもしれません。

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なお、以上は某メーリング・リストへの投稿をリライトしたものです。
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category刊行・講演・出演

『長江大学学報(社会科学版)』第34巻第9期:2011年9月刊

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標記雑誌に、「大林太良与日本神話学」という
短いエッセイを掲載していただきました。

掲載頁は5頁と、飛んで18頁。空白が出ないように、
ということでしょうか。日本の昔の雑誌もやっていましたね。

当研究室に留学中の王立雪さんに翻訳していただきました。
心から感謝です。

この雑誌、楊利慧さん(北京師範大学教授)が出された
『神話与神話学』(北京:北京師範大学出版社、2009年)
という教科書の書評特集で、私も書かせていただいたものです。

楊さんは、中国民俗学の重鎮だった鍾敬文先生(1903-2002)の弟子。
http://baike.baidu.com/view/69193.htm
鍾先生は私の恩師・大林太良先生(1929-2001)と親交が深かったこともあり、
また楊さんは私とほぼ同世代ということもあって、何度か会ったり、
メールのやり取りをしていますが、彼女の研究には親近感を覚えています。

中国でいま「神話学」が注目を集めている現状と、
日本の学界における空気の違いは那辺に由来するのか、も面白そうです。
category刊行・講演・出演

『東北中世史の開拓者 大島正隆資料集』ダウンロード可能

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3月31日付で刊行されました『東北中世史の開拓者 大島正隆資料集』、
http://buoneverita.blog89.fc2.com/blog-entry-113.html

東北大学機関リポジトリでの公開が始まりました。
ここでダウンロードできます↓
http://ir.library.tohoku.ac.jp/re/handle/10097/54277

関心をおもちの方、どうぞお役立てください。
category読書会・勉強会

ゲール語(アイルランド語)勉強会その後

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同好の士と、細々と続けているゲール語(アイルランド語)勉強会、
http://buoneverita.blog89.fc2.com/blog-entry-120.html
なんとか現代語の文法と「オシーン物語」講読を終えることができました。

後期からは、いよいよ古語に挑戦します。

教科書としては、
Stifter, David,
Sengoidelc: Old Irish for Beginners,
New York: Syracuse University Press, 2006
を使用する予定。

かたわら、
McCone, Kim,
A First Old Irish Grammar and Reader,
including an Introduction to Middle Irish,
(Maynooth Medieval Irish Texts; 3),
Maynooth: Department of Old and Middle Irish,
National University of Ireland, 2005

および(古典的名著の誉れ高い文法書の復刻版)
Thurneysen, Rudolf,
A Grammar of Old Irish, Revised and enlarged ed.,
Dublin: School of Celtic Studies,
Dublin Institute for Advanced Studies, 1993
を参照しようと思っています。

辞書としては(DILと略称され親しまれている)、
Quin, E. G.,
Dictionary of the Irish Language,
based mainly on Old and Middle Irish Materials,
Compact ed., Dublin: Royal Irish Academy, 1998
を取り寄せました。

ケルト学全般について参考にしているのは、
ヴィーン大学にケルト学講座を開設した碩学ビルクハーン編の
Birkhan, Helmut (Hrsg.),
Bausteine zum Studium der Keltologie,
Wien: Edition Praesens, 2005
です。

篤学者からのアドバイスなど、いただければ幸いです。
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